かつて私をこう評した者がいた。
オニーサン like a thunderstorm
あれは今から10年ほど前、ちょうど社会に疲れきって自身が何者なのかを見失った頃だっただろうか
コンビニのメニューを制覇してしまった私は昼休みに職場から少し離れた商店街へ来ていた
ラーッシャセェッ!!カレーイカガスカァ
インドカレー屋の店先でカタコトのバイトがチラシを配っているようだ
カレーか…気分じゃないな。
異文化のエネルギッシュさに申し訳なく思いながら通り過ぎると
「コニチワー」
「オニーサン、like a thunderstorm」
え?
彼の口から放たれた意外な言葉に一瞬何が起きたか理解できずにいた
は?なにこいつ。話しかけておいて初対面の相手に雷魔法使ったの?しかも上位のっぽいじゃん。そっちの国ではそうなの?一国相伝かい?いや待てよ、
オニーサン、like a thunderstorm
likeってことは例えているのか
結論を急いだ、すまないカレーボーイ
要するに私を見てサンダーストームのようだと言ったわけだな
なんで??
混乱しながらも続けて思慮を巡らす
ちなみにインドカレー屋のバイトに雷嵐の如き雄とまで言わしめた私は
・子育て支援金に本気でキレることができる
・好きな女性声優が髪染めて泣く
・自分がルリドラゴンではないことに気付きブチギレる
というような男だ。とても褒められたもんじゃない
こんな人間がサンダーストームに見えた、と
そう言うんだな?てかまずサンダーストームもなんだよ、ああもう気になり出したら止まらないやつだこれ
ふと気になって振り返るとバイトはこっちを見てニコニコしている
まぁ褒められたのか…
その真偽ははっきりしないが気分は良かった
何者でもなかった自分がこの瞬間からthunderstormになったのだから
遠くの空に浮かぶ気球が自由に漂いながら私を見つめる。しかしそれを羨む必要はない
私は天地を揺がす雷嵐なのだから
