『アーティクルトラベラー』
インターネットに存在する数多の記事の「記憶」に侵入し、
あたかも自分がその記事の中に登場しているかのような気分になれる。
誰でも簡単かつ手軽に行えるため、老若男女問わず人気が高い娯楽である。
中には記事内で感じたことを更に記事にする者もおり、
それ専用のウェブメディアも存在する。
「だれでもかんたん!タイムトラベルのやり方」(ピコット著)より引用
私は某ウェブサイトでアーティクルトラベラーの記事を執筆している。そこまでPV数は多くないが、ファンはそこそこいる程度の規模。今は先日行ってきた記事について先輩とレポートをまとめている最中だ。
「いや~、この前はたのしかったねぇ。あんなにドタバタな旅行は久しぶりだったよ。」
私の先輩――ピコットさんは資料に目を通しながらふにゃふにゃ笑っている。
「ドタバタだったのは先輩がロクに記事の内容を見ずに適当に飛び込んでいったからでしょう!」
私が呆れながらそう呟くと、先輩は「だよね~」と言って持参したお菓子を食べ始めた。何をしているんだ。
こういう作業はまじめにやらないし、見た目は派手だし、人の言うことは全く聞かないけれど、トラベラーについての記事を書かせると結構スゴイ。本を何冊も出してしまうぐらいの売れっ子ライターで、私もこんなライターになりたいと思っていたんだけど……まさかこんな無気力な人だったなんて!悪い人ではないんだけどね。
「ありゃ?」
先輩の素っ頓狂な声に私の思考は途切れる。そうだ、レポートをまとめないといけないんだった。
ちゃんとやってくださいよ、と声をかけようと資料から顔を上げると、先輩がやたらと深刻な顔をしてレポートを見比べている。先輩のこんな表情、あんまり見たことない。呆然としていると先輩が机に広げていた資料をぐちゃぐちゃにまとめて私に押し付けてきた。なんだ!?
「ど、どうしたんですか先輩!?」
「……旅行の内容だけ書いておいて、どこの誰が書いた記事なのかを書き忘れた!!」
「何やってるんですか!!!」
「まぁ、きみがオススメしてくれたサイトだからさ~、覚えてるでしょ!」
じゃあ、調べといて~と言って、先輩は新しいお菓子の袋を開けて目の前で食べ始めた。この人に手伝おうという考えはないのだろうか。
仕方ない、私一人で調べることにしよう……。
※回答欄の挙動がおかしくなってしまったので、報告書ごとにページを分けています。
おかげでとんでもないページ数になりました。助けて~~

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