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■■県■■市の外れの方に廃墟と化したショッピングモールが佇んでいる。過去の地図を見てもショッピングモールがあった形跡はなく、いつからあるのか・閉店したのかは定かではない。看板は朽ち果てており店舗名を特定することは不可能だった。私は内部調査という名のネタ探しをすべく足を踏み入れる。
中はまるでまだ営業しているかのような、人の手で掃除されたように清潔だった。建物自体の損傷はそこそこあるようで、壁や天井が所々剝がれている。私は何かネタになりそうな物はないかと探索を始めた。
数十分ほど歩き続けていたが、特にネタになりそうなものは見当たらなかった。食品売り場、フードコート、ゲームセンター。いたって普通なショッピングモールであった。思うような成果を上げられなかったことにがっかりしながら、出口に向かって歩き始めた。
が、一向に出口に付かない。ここは一本道だから道に迷うことなんてないはずなのに、いくら歩いても出口すら見えてこない。気が付いたころには、窓の外は青空が見えるはずなのに真っ暗になっていた。私は外の様子を伺おうと窓に近づく。恐る恐る目を凝らすと、何かが蠢いているのが視界に入った。あれは長い触手?暗かったのではっきりとは分からないが、大体4、5本あるように見えた。直感的に「ヤバいところに入った」と悟った。それと同時に「いいネタになるぞ」とも思った。
私は忘れないうちに持参したパソコンにここで起こった出来事や感じたことを書き溜めていった。なぜか電気は通っているようで充電には困らなかったが、インターネットには接続できなかったのでどこにもアップロードができなかった。何ならSNSも使えない。おい、ショッピングモールといえばフリーWi-Fiだろうが。不親切な建物だと思った。
ここから出られなくなってどれくらい経っただろうか。いつものようにパソコンに向かっていると、窓の方から視線を感じた。例の触手か?と思って窓を見ると、二つの大きな目玉が私を捉えていた。恐怖で声にならない悲鳴を上げたところ、窓の外の目玉も驚いたようだった。どうやらこちらの声が届いているようで、私はいくつか質問を投げかけてみると目玉は快く質問に答えてくれた。内容を簡単にまとめるとこういうことらしい。
1.窓の外にいるのは目玉ではなく人間で、触手だと思っていたものは手だった。
2.私と窓の外の人間(以下Aとする)は窓越しではなく液晶越しである。
3.Aは私の声が聞こえるが、私はAの声が聞こえない。そのため、意思疎通のためには筆談など会話以外の方法でコミュニケーションを試みる必要がある。
4.今私がいる場所は、リミナルスペースを探索する「■■■■■■■ ■■■■■■■」というゲームの中らしい。
つまり、私は知らない間に画面の中に閉じ込められてしまったらしい。どうにかならないのか、と窓を殴りつけると、私の手が窓を通り抜けて画面の向こうの机に触れた。これなら出られると思い向こう側の机に手をついて思い切り身を乗り出したが、私の体は窓に激突してしまった。どうやら向こう側に行けるのは手だけらしい。何としてでも脱出しようともがいていると、勢いのままAの手を掴んでそのまま引っ張ってしまった。
引っ張り出されて気絶しているAを目の前にして、一つの考えが頭をよぎった。
私の事を見つけた人を片っ端からこちらに引っ張れば、こちらが「現実」になるんじゃないか?
私が出られないのなら、みんなをこちらに連れてくればいいんだよね?
あれから何人もの人間を旨い事言いくるめてはこちら側に引っ張っている。一人だとやれることが限られるし、何より寂しかったからみんながいてくれて嬉しい。時間も経たないみたいだしずっと年も取ることなく物を書きながらゆっくり過ごせる。ネットが繋がらないのはちょっと嫌だけど、今すごく幸せに近い気がする。
「みんなのおかげで私すごく幸せです。本当にありがとうございます。」私は誰に言うまでもなく独り言ちた。
彼らの目は乾いていて、ただ座り込んだまま何も言わなかった。
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